木は温かい
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写真1 いろいろな物質の熱の伝えやすさ
(引用:日本木材学会編 すばらしい木の世界)
「温かい」と「暖かい」とはどう違うのでしょうか?。混同し勝ちですが、前者は“温もり”を感じる場合、後者は“暖かさ”を感じる場合と区別できます。しかし、どう具体的に違うのか、まだはっきりしません。
そこで、発泡スチロールに手で触ってみます。温かく感じます。鉄パイプに触ったら、冷たく感じますね。実は、人は常日頃一定の割合で体表から熱を逃がしていて、それが適当な場合に快適に感じる仕組みになっています。寒いとか冷たいとかは、その熱の逃げ方がいつもより大きいと感じます。逆に、熱の逃げがいつもより小さいと、自分の熱を感じて温かい、暑い、を感じるのです。
ところで、熱の伝えやすさを熱伝導率という用語で言い表しますが、熱伝導率が大きい場合は“冷たい”、熱伝導率が小さいと“温かい”ことになります。
写真1をみて下さい。スギの熱伝導率は、鋼材の実に480分の1の0.08です。0.10以下の物質は熱絶縁材料と云います。軽くて有名なバルサやキリなどはスギ以上の熱絶縁材料です。この他、多くの木が熱絶縁材料に近い性質をもっています。
また、太陽の光の中の熱線と云われる赤外線を木材は再放射してくれます。実は、体温をもった人も赤外線を出しているので、同じように熱線を相互に返しあっているのです。
したがって、木材は触ってもヒャッとすることが少なく、しばらくするとほんのりとした“温かさ”さへ感じます。まさに、木は“温かい”材料なのです。
一方、太陽の直射光や電気ストーブからうける暖かさは、赤外線によって直接熱として感じるもので、まさに“暖かい”という言葉を使うとよいでしょう。