木の床と衝撃音
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写真2 重量床衝撃源
(軽自動車タイヤ)
床に衝撃力が加わると、床が振動して音が発生し、天井を透過して下の階の部屋に放射されます。それと同時に、床の振動は下の階の壁に伝わって、振動した壁から部屋の中へ音が放射されます。このような音を床衝撃音といいます。
床衝撃音は、衝撃源の重さによって2種類に分類されます。一つは、椅子を引きずったりスプーンのように軽くて硬い物を落としたときに発生する軽量床衝撃音であり、もう一つは子供の飛び跳ねのように柔らかくて重い衝撃によって発生する重量床衝撃音です。
日本工業規格では、軽量床衝撃源として金属製のハンマーが5個付いたタッピングマシン(写真1)、重量床衝撃源として軽自動車のタイヤ(写真2)をそれぞれ用います。上階の床を衝撃源で加振して、下階の部屋で床衝撃音レベルを騒音計を用いて測定します。軽量床衝撃音は、床の表面仕上げ材の材質に大きく影響されます。根太床の場合、軽量床衝撃音には、根太に固定された床の下地材や仕上げ材の部分的な振動による高い周波数成分が多く含まれています。一方、重量床衝撃音には、梁や根太に面材が張られた床構造全体の振動に関わる低い周波数成分が多く含まれています。これらの衝撃音を抑える対策を考えてみましょう。
軽量床衝撃音を抑えるためには、床表面を柔らかい材料で仕上げることが効果的です。集合住宅等では、木材で床を仕上げる場合、下地にクッション材や遮音材をはさんで、衝撃緩衝性や遮音性を高める対策が必要になることがあります。重量床衝撃音を抑えるためには、床・天井のみならず、壁の構造的な剛性や質量を高めること、天井を上階の床から吊らないこと、土台床の上に浮き床を設けて振動の伝搬を抑えることなどが考えられます。