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喘息とダニ

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チリダニ科ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニ
(すばらしい木の世界 木材学会編 より)

 現在、地球上で知られているダニの種類は約5万種類といわれています。森林や野原、室内などにはもちろんのこと、水中にも動物のからだの中にもダニは生息しています。雪と氷の世界を除き地球上のいたるところダニは見られます。
 そんなにたくさんいるダニですが、意外に気にならないのはダニのからだが小さく私たちの目では見えないものが多いからです。河川敷に発生し、風土病として古くから恐れられていたツツガムシ病を引き起こすツツガムシもダニの一種です。野菜につくハダニ、家ネズミにたかるイエダニなどもよく知られています。

 最近、特に問題になってきているのが、室内に生息するダニです。住居内のゴミ、すなわち室内塵の中で繁殖するダニが増え、喘息などの原因となるからです。室内塵は食べ物の食べかす、人のふけ、その他さまざまな室内の片隅に落ちていてダニのえさとなるものを指しています。高温多湿を好むダニの繁殖を抑えるには湿度を低くし、掃除機を丹念にかけゴミを少なくして部屋を清潔にしておけばよいのですが、忙しく活動する現代人にとってはそれはむずかしいことなのでしょう。

室内塵中のダニ類
(高岡正敏 医薬の門 26(4)、34(1986) より引用)

 室内塵中には約100種類以上のダニが見いだされていますが、その中でも特に生息数の多いのがヨーロッパ室内塵ダニと呼ばれるヤケヒョウヒダニとアメリカ室内塵ダニという名を持つコナヒョウヒダニです。これらの室内塵中のダニが喘息などの原因となります。
 室内塵ダニが気管支喘息の原因抗原物質(アレルゲン)であることは約30年ほど前にオランダの医師によって指摘されました。わが国の気管支喘息患者の50~90%はダニが原因です。
 そればかりではありません。最近増え続けている鼻アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患にもダニは関係しているといわれています。

動物界でのダニ