栃木県では、本格的な伐採時期に入り皆伐作業も進み、各共販所への入荷は順調。天候にも恵まれ原木の供給量は増えている。間伐材は小径木も含め例年同様の出材量が見込まれる。スギ材は3m、4mともに原木の高止まり状況が落ち着き全体的に保合で推移。3m柱材は16,000円台半ば、4m中目材は16,000円台前半。ヒノキ材は供給が安定しているため3m柱材が弱保合、4m中目材も引合いが弱く、特に土台用の価格は続落中。3m柱は18,000円前半、4m中目材は22,000円台後半。ヒノキ材の引き取りが若干鈍くなった。
群馬県では、原木の出材が増えて集荷は容易。原木在庫はスギ3m柱材が少ない。工場の操業は通常の約120%で年末まで多忙だがロットは小さい。首都圏の製品市場からの受注、ビルダー向けの納材は平年並み。土木・大型物件の受注は継続。製品在庫は少ない。荷余り品はスギのガラ貫、中貫、大貫で最近はKD材を求められる傾向にある。製品価格は変わらず低位安定で推移。人手の確保と採算の回復が課題となっている。
カナダでは、米国の木材需要の低調に加え関税問題もあり、販売低迷・不採算となり各製材工場で減産・操業停止が相次いでいる。米国でも年末ホリデーシーズンに入り、住宅・木材需要が伸び悩んでおり、マーケットは静観状態が続いている。カナダの港頭在庫は極めて低調な状況だが、米国では船積み必要量は順調に伐採されている。米マツIS級並の対日輸出価格(推定)は前月同様の$970/千SC。ランダムレングス紙発表の15種平均価格は12月5日現在$366/Mと11月初めに比べ5.9%の下落となっている。
10月の原木入荷は見通しよりも多い136千㎥(うち合板用19.3%)、1~10月累計は1,275千㎥(前年同期比2.3%増)、うち米国産が870千㎥(同2.1%減)、カナダ産は406千㎥(同13.3%増)。出荷は119千㎥と前月比4.8%増、1~10月累計は1,289千㎥(同3.4%増)で累計では出超。在庫は164千㎥、在庫率は1.32ヵ月と前月より若干増加。東京木材埠頭の11月の米材製品入荷は8.5千㎥(前月比25.7%減)、出荷は8.5千㎥(同29.8%減)、在庫は30.6千㎥(同0.1%減)。確認審査の遅れていた着工分の荷動き発生や分譲住宅で決算前の物件完成の動きがあり、製材品需要は今夏に比べ回復しており、年末も同様な状況が続く見通しである。
第4・四半期の契約交渉は若干ユーロ価格の調整があったが、現状はオファーの狭間である、第1・四半期の交渉は12月中頃から始まる。中欧産地で工場疲弊が進み、ストラエンソ社はオーストリア、チェコ、ポーランド、リトアニアにある製材工場・CLT工場の戦略的見直しを発表した。WW間柱類はスギやLVLに食われ、市場性を失いつつある。特に関西でLVLが伸びている。輸入・国内集成材ともコストは80,000円/㎥を超えており、プレカット工場稼働の回復基調によりジリ高傾向は続く。中欧産地の疲弊によりWW集成管柱の供給は今後低下する見通し。東京木材埠頭の10月製品入荷は20千㎥と直近でピークだが、11月以降急減する。出荷は17千㎥と上向き傾向。在庫は45千㎥とピークだが、11月以降入荷が減るため在庫も減ってくる。
産地の11月天候は暖冬のため林道が固まらず原木搬出は停滞気味。日本向け製材生産はアカマツ良材の不足により減少傾向。中国からの引合いは低水準で買付を中止したバイヤーも見られる。ウズベキスタンなどの国内需要も建築シーズンが終了し悪化している。アカマツ原板価格は$400/㎥を切るもオファーは少ない。完成品は$520~550/㎥と弱含み。国内の有力製材メーカーを除き原板の入荷は少ない。高値原板の影響でメーカーは利益につながっていない。10月の製品入荷(東京+川崎)は12千㎥と減少が続く。出荷は13千㎥といまだ実需に迫力はない。在庫は54.9千㎥と減少が続くが、依然として高水準を維持している。
国産原木の不足は解消されたが、原木コストが上昇しており、製品へのコスト転嫁が出来ず、サイズによって採算が合わない状況が続いている。11月は各合板メーカーの出荷が上向き、月末には欠品する工場も散見された。トラックの確保にも時間を要し即納はどこも難しく、納品まで1週間から2週間かかる状況となった。11月もメーカーは値上げ姿勢を崩していないが、ルートを中心に横ばいで推移。ハウスメーカーは値上げを受け入れている。10月の国内合板生産量は22.4万㎥、うち針葉樹構造用合板は15.3万㎥、出荷量は21.2万㎥、在庫量は15.3万㎥で前月比10,400㎥減少。輸入合板は、現地のコスト高契約分の入荷、為替の円安などにより全国的に値上げとなっている。港湾在庫は偏りがあり、品薄や欠品のアイテムも出始めている。インドネシア、マレーシア産地とも雨期入りで原木の出材量が減少。またメランティを中心にコスト上昇も続いており、今後の合板生産への影響が予想される。10月の合板輸入量は17.7万㎥(前月比100%)、マレーシア産は減少傾向にあるが、インドネシア産は2ヶ月連続で6万㎥台の入荷となった。
11月の弊社ラミナ入荷量は前月比約30%増加。在庫は概ね十分な水準であるが、WWラミナは不安定な状況が続いている。第4・四半期契約は€280~290/㎥、来年の第1・四半期オファーは約€20/㎥程度の値下げ決着の可能性が高い。為替は180円付近とかなり円安で、ラミナは値下げ、為替円安により製品価格は総じて値上げ傾向にある。11月のプレカット工場の稼働率は年内では最も好調であり、国内集成材メーカーの11月受注は前年同月比102%となっている。長物や尺上製品の相場は強含み。原料高・製造コスト高の影響により値上げ圧力は継続している。10月の構造用集成材の輸入量は小断面19,514㎥(前年同月比0.6%増)、中断面13,308㎥(同11.7%減)。西日本を中心に秋需の兆しがみられ、東日本でも分譲住宅を中心に秋需がみられる。
原木入荷は製紙用・バイオマス発電用ともに小径材(C材)の引き合い強いが、A材、B材を含め国産原木の出材は低調。燃料用は発生、入荷ともに例年並み。冬期に向けて徐々に発生量は減少する見込み。消費は原料用、燃料用ともに例年並み。在庫に不足感はない。国産原木価格は、製紙向けパルプ材及び発電向け未利用材ともに不足感強く、高止まりで推移。国内チップ工場では原料用は針葉樹、広葉樹ともに出材が少なく在庫量は減少、燃料用も解体材発生量が少なく在庫量も減少し、各社は集荷量の確保に動いている。
建築確認申請や審査の停滞で建築がなかなか進まなかったが、確認作業は正常化してきた模様。しかし地場工務店を中心に戸建て新築住宅は依然として勢いはない。プレカット工場の稼働率は回復傾向だが、材木店にはまとまった仕事が少なく細かいリフォームが中心である。スギ柱角、ヒノキ注入土台角がパラパラ出ているが、量はまとまらない。外材構造材・集成材も同様で当用買いが続いている。造作材では店舗向けスギ羽目板が多く出るようになった。首都圏のプレカット工場では、10月、11月と90%台の稼働を維持していたが、12月に入ると戸建て住宅の受注量が減少しており、稼働率の落ち込みが予想される。特に中小工場では、12月から年明け以降の受注量が一段と減少する見通しで、実需の不透明さが懸念される。
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