ベトナムにおける木材産業関係団体の概要

ベトナム林業総局によると、2017年の林産物輸出は、2016年に比べて10.2％増加し、初めて80億ドルに達した。木材製品はベトナムで6番目に大きな輸出品目となり、世界市場シェアの6％を占めている。ベトナムの木材製品の輸出額は、ASEANで1位、アジアで2位、世界で5位と報じられた。

ベトナム国内には、次の四つの大きな木材産業関係団体がある。これら団体の概要は以下のとおり。

１．ホーチミン手工芸木材工業協会（HAWA）HANDICRAFT AND WOOD INDUSTRY ASSOCIATION OF HCMC

ホーチミンを中心に活動している団体で、1990年に「木材産業の強化、輸出の拡大、国内市場の改善」等を目的として設立された最も歴史のある協会である。会員は主としてホーチミン市、ドンナイ省、ビンズン省であるが、ハノイ、ロンアン省等の企業も一部含まれている。

設立当初は、主として手工芸関係の業者が主たるメンバーであったが、各企業間の連携が進むにつれ、製材、家具のほか、建設、貿易、工作機械メーカーなどが会員に加わり、現在約400社が会員となっている。

BIFA（後述）との連携による家具及び木材加工品等の展示会の共同開催、運営及びVietbuild（建設全般の展示会）への出展の他、各種大学との連携による森林の持続的経営や新たな木材加工技術の紹介、先進諸国との連携による先進機械加工技術の研修等、川上から川下まで幅広い分野で技術の向上にも力を入れている。

（１）設立目的

• ベトナム木材産業の資源を強化
• 国際市場への輸出を拡大
• 国内市場の改善
• 会員相互及び他組織との関係構築及び強化
• ベトナム木材産業の発展に貢献

（２）主な活動内容

日本木材輸出促進セミナー（日本木材輸出振興協会主催）

• 見本市、トレーニングコース、競技会、会議、ワークショップの開催
• 世界各国の見本市にベトナムの家具・手工芸品等を展示
• 木材調達、市場、技術、ビジネスに関する最新かつ有用な情報を発信
• 国際および国内の関係協会との連絡調整
• 政府の代表者との定期的な連絡の維持
• 会報誌、インターネット等を通じた広報

（３）会員数　397社

内訳

• 木材加工関係　211社
• 手工芸関係　76社
• 輸出入関係　95社
• その他　15社

（４）連絡先等

２．ベトナム林産物協会（VIFORS）FOREST PRODUCTS ASSOCIATION OF VIETNAM

職業村 Đồng Kỵ wood village

ベトナム林産物協会は、ベトナム北部ハノイを中心に活動している団体（2000年設立）で、ハノイ周辺の中小規模家具工場を主体に約800社が会員となっている。政治の中心はハノイ、経済の中心はホーチミンと言われるように、ベトナム林産物協会は関係政府機関との調整や各協会の調整的役割をも担っている。

VIFORESの特徴として、ハノイ周辺には職業村と呼ばれる部落が多数存在しており、木材関係では、Đồng Kỵ wood village（約3,500社）、La Xuyên wood village（約2,000社）、Vạn Điểm wood village（約2,000社）、Vạn Điểm wood village（約2,000社）Hữu Bằng wood village（約4,250社）、Liên Hà wood village（約1,600社）の６つの職業村が存在している。これらの大部分は家族経営の小規模経営でありながら、多くは自ら木材を輸入し家具を製造、主として国内向け販売と隣接する中国向け輸出が主体となっている。これらの小規模経営は、生産性が低く、これらの小規模経営を如何にまとめていくかが課題となっている。

（１）設立目的

• 国の社会経済開発に貢献し、ベトナムと他の国々との間の経済的、科学的、技術的協力の促進
• 生産、加工、販売、サービスについて、メンバー間の協力、サポート、製品価値の向上
• 自然災害予防、疾病予防、持続可能な林業の保護と開発
• メンバーの正当な利益を守り、雇用環境を創出
• 労働者生活の改善

（２）主な活動内容

• 貿易、法律、経済、科学に関する情報の指導、コンサルティング
• 技術提供、メンバーの管理、情報交換、外国の組織や国内他産業企業との企業間の関係構築を支援し、発展させるための組織的活動
• 地方、企業の意見を要約して、その提案を反映（外交を含む）
• 経済活動、生産およびビジネスに関連する事項に関するベトナム北部地方機関の役割を担う
• 諸外国の視察等の活動の組織的活動
• 国内外の展示会、見本市の調整
• 生産技術、科学技術を改善するための組織的訓練
• 資金融資等のサポート

（３）会員数 780社

内訳

• 木材加工および輸出関係 550社
• 木材供給（国内生産、輸入）関係： 150社

（４）連絡先等

３．ビンディン林産物協会（FPA Binhdinh）Forest Products Association of Binh Dinh

ビンディン林産物協会は、ビンディン省クイニョンを中心に活動している団体（1999年設立）である。輸入及び国産のアカシア、ユーカリを中心としたアウトドア家具の生産が盛んな地域である。 ビンディン省は輸出規模では国内トップ３に数えられ、家具を中心に年間22千コンテナが輸出されている。 ビンディン省管内には日系企業による約1万haの造林地などを含む約40万haの森林がある。港からは輸送用の鉄道が敷かれ、生産地（森林）から輸出までのアクセスが良いことなどから日本、台湾向けパルプ、チップの生産が盛んな地域となっている。

（１）設立目的

• 技術サポート、協力、融資、仲介、コンサルティング
• 新技術の導入による生産能力と製品品質の改善
• 独占的行為、市場紛争、不公正競争的行為を制限し、互いの利益を保護
• ビンディンの木材や林産物のイメージ作り、生産、市場開発への共同取組
• 木材加工産業界の労働者の生活条件の向上

（２）主な活動内容

• 「Binh DinhFurniture」のブランド化への取り組み
• アルミニウム、石などの非木質材料を組み合わせた製品作り
• FSC認証の取組

（３）会員数（96社）

内訳

• 家具製造 51社
• ウッドチップ関係 3社
• 木材供給 9社
• 機械関係 17社
• その他 16社

（４）連絡先等

４．ビンズン家具協会（BIFA）Binh Duong Furniture Association

ビンズン省は、ベトナムにおける木製品総輸出額の50％以上を占める国内最大のエリアである。BIFA（2009年設立）は主として家具の展示会VIFA（Vietnam Internstionsl Furniture & Home Accessories FAIR）をHAWAとの協賛で運営しており、家具輸出に力を入れている。3月7日～10日にSaigon Exhibition & Convention Center (SECC)で行われたVIFA-EXPO 2018では、約2000のブース（家具、木質材料80％、手工芸3％、内装装飾4％、サービス13％）が設置された。

家具の展示会VIFA

この中にはアメリカ、カナダ、ヨーロッパ、中国、日本など約20カ国からの約150社の出展もあった。VIFAの公表によると来訪者は約1万2千人で、昨年より2割増加したとのことであった。諸外国からの来訪者も4000人を越えており、最も多かったのは中国、次いで韓国、オーストラリア、日本、アメリカとなっている。

（１） 設立目的

• メンバーの正当な利益の保護
• 生産管理、ビジネス、労働における経験の共有
• メンバー間の協力、連携を推進することによる国内外の市場で競争力の向上
• ビンズンの木材加工産業のための様々な形態の共同訓練
• 木材生産と取引活動に関連する政策立案のメンバーと政府との架け橋
• 政府資金、その他の資金調達のサポート
• 法律、市場、技術、サプライヤーに関する情報発信

（２） 主な活動内容

• 法律、経済、科学技術、技術、メンバーの管理
• 情報交換、企業間の連携、外国の組織や企業との情報の提供、コンサルティング
• 企業と地方、地方と外交間の経済関係を支援、発展させるための組織的活動
• 研究、経済、生産活動に関連する諸問題について企業の意見を集約し、関係機関へ提案
• 国内外の市場調査
• 国内外の展示会、見本市、展示会を開催

（３） 会員数（200社）

内訳

• 原材料 30社
• 木材加工 164社
• 機械関係 6社

（４）連絡先等