インドでは、経済成長と所得の増加に支えられて、都市部を中心に家具やモダンな木製品の需要が高まっており、家具メーカーでは生産規模拡大の追い風となっている。さらに、インド政府による住宅設備への支援により、今後も合板や家具の需要が高まることが期待されている。
合板及び積層木材市場は、続伸を続けており、Nesterの調査レポート「インドの合板と積層木材の市場–需要分析と機会の見通し2027」では、当該市場は2027年には73億ドルの市場価値に達すると予想されている。その背景には、政府の低コスト住宅及びインフラ開発への支援、様々な産業における需要の高まり、建設業の成長等がある。
一方、インドでも新型コロナウイルスの感染拡大により大きな影響を受けた。経済の牽引力である中小企業セクターは、10週間近くに及ぶ全国的なロックダウンによって最悪の打撃を受け、合板・パネル産業も2020年5月20日まで生産を停止した。この業界では、熟練労働者の確保が常に大きな問題となっているが、現在、彼らは帰郷しており、再稼働時には労働者確保の課題が予想される。
当該問題に対しカンドラ木材協会(KTA)の会長は、「現在、移民労働者たちは、新型コロナウイルスの感染拡大に対する不確実性に焦りを感じている。労働者の50%が出身地に戻り、さらに多くの者が故郷に戻る準備を進めている。故郷に戻った労働者が4〜5か月以内に戻って来ることはないため、産業が正常な状態になるまでには少なくとも1年はかかる。カンドラを拠点とする木材産業は、毎年4百万m3の木材を輸入しており、これは、インドの木材輸入の65%以上を占めている。」と述べている。
また、インド合板・パネル産業連盟(FIPPI:Federation of Indian Plywood & Panel Industries)は、次のコメントを発表している。
グジャラート州に拠点を置くパーティクルボード工場は、最近、平均して60%の稼働率で操業している。この地域だけでも25の工場があり、インドのパーティクルボード製造の大きなハブとなっている。
2020年には、同州でパーティクルボードプラントを増設する計画がある。グジャラート州のパーティクルボードは国内で大きな市場シェアを持ち、1日の生産能力は3,500 m3を超えている。
インド最大の製材工場団地のあるガンディダムには、3000の製材所があり、大部分はマツを製材し、地元パーティクルボードメーカーの重要な原料供給源となっている。しかし、現状では原料供給が急増するパーティクルボード需要に追いついていない。今後は工場の増設が見込まれ、木材供給が改善すれば、工場の間で価格競争がさらに激しくなることが予想される。
インド森林調査局が公表した「森林現況レポート2019」の概要は次のとおり。