台湾における2020年1~10月までの木材市場の概況

2020年、台湾は新型コロナウイルスの影響により多くの業界が多大なダメージを受けているが、税関の輸入統計によると、木材市場はこの状況下でむしろ成長を遂げており、台湾の建設、住宅市場が活発化している。

2020年1~10月までの主要木材製品の輸入供給状況は次のとおり。

1.原木

2020年1~10月の原木輸入量は363,680m3となり、前年同期比で6.1%減となった。輸入量が減少した国は、マレーシア、ニュージーランド、ソロモン諸島、米国であり、増加した国は、日本、カナダ、パプアニューギニア等である。

輸入量の多い国は、ニュージーランド105,711m3(シェア29.07%)、日本69,594m3(同19.14%)、マレーシア59,555m3(同16.38%)、パプアニューギニア41,965m3(同11.54%)、ソロモン諸島35,121m3(同9.66%)である。

なお、2020年のニュージーランドからのラジアータパインの輸入量は、史上第2位を記録する可能性がある(現時点では2019年の年間輸入量143,658m3が最高)。また、日本からのスギやヒノキ等の原木も史上第2位を記録する可能性がある(現時点では2014年の年間輸入量101,231m3が最高)。これは、建設、住宅市場の活発化によるものとみられる。

2.製材品

2020年1~10月の製材品輸入量は1,064,495m3となり、前年同期比で10.9%増となった。主要輸入国及び地域は多い順に、欧州399,139m3(シェア37.50%)、カナダ246,084m3(同23.12%)、オーストラリア86,407m3(同8.12%)、中南米68,597m3(同6.44%)、マレーシア67,807m3(同6.37%)、ニュージーランド60,856m3(同5.72%)、米国51,351m3(同4.82%)、そしてインドシナ半島44,460m3(同4.18%)等である。

3.合板

2020年1~10月の合板輸入量は507,803m3となり、前年同期比で23.5%増となった。インドネシアからの輸入が36,118m3増で最多である。合板の主要輸入国は多い順に、中国220,604m3(シェア43.44%)、インドネシア156,786m3(同30.88%)、マレーシア91,090m3(同17.94%)、ベトナム23,668m3(同4.66%)である。

4.ブロックボード

2020年1~10月のブロックボード輸入量は2,993m3で、年々減少している。これまでの主な供給元は中国であったが、今年は突如インドネシアから1,119m3(シェア37.39%)を輸入している。インドネシアが台湾のブロックボード原料(ランバーコア)の最大輸入国となった。

5.単板

2020年1~10月の単板輸入量は、180,228m3となり、前年同期比で1.5%増となった。主な輸入国は多い順に1位が中国68,414m3(シェア37.96%)で、主にユーカリコア板であったが、ごく一部に集成材やアフリカンオクメ材もあった。2位はブラジル23,851m3(同13.23%)で、主にラジアータパインコア板である。3位はチリ17,344m3(同9.62%)で、主にラジアータパインコア板である。4位はマレーシア15,879m3(同8.81%)で、主にラワン、熱帯樹木集成材である。5位はベトナム15,159m3(同8.41%)で、主にユーカリコア板である。6位はパプアニューギニア10,641m3(同5.90%)で、主に熱帯樹木を原料とする集成材であった。7位はニュージーランド9,377m3(同5.20%)で、主にラジアータパインコア板であった。

近年、台湾への単板の供給源は多様化している。以前、集成材はマレーシアからが多かったが、現在はその他に中国、パプアニューギニア、ソロモン諸島からも供給されている。またコア板はこれまで、マレーシア(広葉樹)、ニュージーランド(針葉樹)からの輸入が多かったが、現在はその他に中国、ベトナム(広葉樹)、ブラジル、チリ(針葉樹)からも輸入しており、原料供給地の分散に努めている。

6.ランバーコア

2020年1~10月のランバーコア輸入量は305,990m3で、前年同期比17.1%増となり、過去5年来最高の輸入量となった。

主要な輸入国はインドネシア295,358m3(シェア96.53%)で、主にマラッカギンネムであったが、ラワンやユーカリのランバーコア合板等もわずかにみられた。

7.パーティクルボード

2020年1~10月のパーティクルボード輸入量は、308,617m3となり、前年同期比で9.9%増なり、統計開始以来、最高となった。

その内、主要輸入国は多い順に、トルコ99,688m3(シェア32.30%)、タイ89,714m3(同29.07%)、ルーマニア25,589m3(同8.29%)、イタリア23,481m3(同7.61%)、中国20,120m3(同6.52%)、オーストリア19,283m3(同6.25%)、そしてドイツ16,231m3(同5.26%)であった。

パーティクルボードは、製材品、合板、ファイバーボードに比べ安価で、さらに素材加工も容易で加工技術も進歩していることから、引き続き前述の材料の一部に代替されており、その輸入量は過去最高となっている。

8.ファイバーボード

2020年1~10月のファイバーボード輸入量は124,145m3となり、前年同期比で13.3%増となった。これはファイバーボードの昨年供給量が年間14万m3まで落ち込んで以来、初めての成長となった。現時点の成長から、今年の年間輸入量は14万m3以上の供給水準まで戻る可能性がある。それは国内の建設、住宅市場全体の勢いによるものと考えられる。

主要な輸入国は多い順にタイ71,841m3(シェア57.87%)、中国9,596m3(同7.73%)、ドイツ9,320m3(同7.51%)、インドネシア7,997m3(同6.44%)、マレーシア6,236m3(同5.02%)、ニュージーランド5,312m3(同4.28%)、そしてベルギー4,357m3(同3.51%)であった。