インドの木材産業の動向(近況)

インドにおける木材年間生産量(推定)は、自然林及び森林外の木(TOF)からの伐採量が、それぞれ、317万m3、4,434万m3であり、年間総生産量は、4,751万m3である(CSE 2017年、NCCF 2017年)。インドで生産される木材全体のうち、3%が紙パルプ、7%が合板と製材、残りの90%が薪として使用されている。

紙パルプ産業

紙パルプ産業は、インド経済に貢献する主要な産業部門の1つである。インドには888以上の製紙工場があり、操業能力は約1,200万トン、国内市場は約1,100万トンである。木材パルプの年間生産量は、約900万トンの木材を使用して、270万トンである。紙パルプ産業では、木材の国内需要の3%を消費している。木材の90%以上は、業界が推進するアグロフォレストリ/ファームフォレストリの植林伐採であり、当該産業は原材料の面で自給自足となっている。世界で15番目に大きいインドの紙パルプ産業の市場規模は、5260億ルピー(105億2千ドル)である。インドは50万トンを紙製品を輸出し、150万トンの輸入しており(GoI 2011年、OUTRICH 2019年)、ほぼ150万人の雇用を提供している(Suri、2007年)。

合板産業

インドの合板産業において、1千万m3の合板を生産するために必要な木材量(木材需要)は、木材から合板への歩留まりを60%、変換係数を1m3= 0.8トンとすると、1700万m3で1360万トンになる。合板を生産するための木材の主な輸入元は中国、マレーシア、スリランカ、タイである。

合板業界の大手企業の1つであるM / S Century Plyboards(I)Ltdは、最近、アンチウイルス合板と集成材の発売を発表した。最近の世界的な感染症の発生を念頭に置いて、この新しい合板はナノ材料に基づく最新の技術を使用して設計されている。この合板は、抗菌性、抗真菌性、抗ウイルス性の粒子でできており、99.99%のウイルスを殺し、家を安全で健康に保つことができる。

ファイバーボード

インドでは、特定の国から輸出される特定の種類のファイバーボードの輸入に対するアンチダンピング関税が2021年1月20日まで延長された。関税は1m3あたり5~46ドルである。関税は2015年までさかのぼって、家具やその他の関連産業で使用されるファイバーボードに課せられた。

インドでは、MSME(Micro, Small & Medium Enterprises)農業残留物をベースとするによる新農村サプライチェーンが構築されており、サトウキビ工場又は農家から直接、サトウキビバガスのような材料を調達している。2019~20年には、インドの農村部で300万トンを超える農業繊維物が120万m3の家具材として使用された。これは、家具用の約200万本の木が節約されたことに相当する。マハラシュトラ州、グジャラート州、UP、MP、テランガーナ州、ハリヤーナ州などにあるさまざまな製造部門では、約100億ルピーの売上高に達している(AIABA2020)。これらのパネル製品は大量消費用であり、住宅や家具の製造に広く使用され、主に社会の中低所得層に普及している。この産業は、農民の経済を後押しし、農村地域の雇用創出を復活させる上で主要な役割を果たしている。

家具産業

Ikea、Godrej、Zuari、Durian、Nilkamal、Featherlite、Pepperfryを含むインドの主要な家具会社とUrban Ladderは、組織化されたエコシステムを構築すべく検討を進めており、政府関係者へ進言している。この動きは、地元の調達が増えるだけでなく、インドからの輸出増大も期待される。

また、世界の約40か国から製品を輸入しているスウェーデンの小売業者Ikeaは、家具原料として、きちんと管理された森林から原材料を調達できるよう、FSC認証木材をインドから調達することを検討している。この動きは、インドの家具製造業界が世界標準に向けて前進するための大きな推進力が得られる。インドを自立した家具製造ハブに変えることを目標としている政府はこのプロジェクトに関心を持っている。

一方、伝統的な家具の人気により、インドの家具製造における木材の需要を高めている。ここ数年、食器棚や家具、装飾などの目的で木材を使用し始めたため、家庭での木製品の利用が増加している。これとは別に、デリー、ムンバイ、バンガロールなどの大都市では、加工材を使用した、組み立て式のエレガントな家庭用家具の人気が高まっており、家具の需要を高めている。

住宅セクターの発展と大都市の急速な成長は、人々の生活水準とライフスタイルを変えてきている。この影響で、スタイリッシュな家具を備えた住宅が増えてきており、インドの家具産業は成長傾向にある。