2021年前半の北米木材市況と日本スギの展開

一般市況

一般建築材(#2btr)は、6月中旬以降の2~3週間で40~50%暴落したが、これは下記の2つの理由により起きたものと考えられる。

  1. 国内向けの大手サプライヤーが在庫を大幅に減らして調整したこと。
  2. 米国のロックダウン中、一般消費者はDIYホームセンターから資材を購入し自宅の改築・改装を行っていたが、ロックダウン終了により、他にお金や時間を使い始めたこと。

一方で、ベイスギ全般、17~25mm薄物の内装及び外装造作用木材、及び合板については、先物売りがかなりあり需要は落ちていないため、ほぼ全品目で高値を維持している。また、Jグレードは、量は少ないが価格は安定感がある。

日本スギ市況の現状

日本や中国からのスギ板材は、最近ではフェンス用だけでなく、サイディングや住宅の物置用材としてベイスギに代わり使われている。また、ベイスギの極端な高騰と不足により一部はデッキ材としても出回っている。

しかしながら、日本スギのデッキ材は、長さが3m, 3.65m, 4mのため、一般のデイーラーやホームセンターへの浸透は限られている。一部では中国や台湾から、3m, 3.65m, 4.2m, 4.85m, 6mの日本スギ材のオファーも見られ、継続性があれば高値安定して浸透する可能性がある。

従来のコンテナ運賃であれば、4.85m, 6m材が35%以上確保できれば、日本スギのデッキ材は東京でのオントラで9~11万円/m3と予想されるが、現在のコンテナ運賃の高騰下ではこれより低くせざるを得ないであろう。

日本から6寸角以上のスギ大断面ティンバー乾燥材が、米国に出されているようだが、長さが3m, 3.65m, 4mであり、短材特注物件に限定されよう。

日本スギ市況の今後の展開

来年(2022年)春くらいまでは、一般建築材やベイスギ、日本スギを含め価格は非常に流動的で2か月先以上の予想は難しいが、次の要素が鍵となるだろう。

  1. 今秋以降ロックダウンがあれば、市場が再活発化する可能性がある。一方で、コロナ関係の死亡者が極端に増加する場合、経済は建築市場を含め低下する可能性がある。
  2. 長期的には不足することが決定的なベイスギを日本スギが代替できるか。また、4.85mと6m材を全体の20~35%出せるか。
  3. 中国、台湾からの日本スギ材がどの程度伸びるか。