インドのパネル産業の展望

コロナのパネル産業への影響

コロナは業界全体に影響を及ぼしたが、危機状況に直面しているのは組織化されていないセクターである。北部のハリヤナ州、ウッタルプラデシュ州、パンジャブ州に中心を置く組織化されていない合板業界は、昨年の封鎖による後遺症からほぼ回復し、2021年3月の売上高は昨年の封鎖前のレベルにほぼ達したが、4月の第2波により需要が落ち込み、メーカーは稼働率を半分に減らす必要性に迫られた。これらの製品のほとんどは、デリー首都圏、中央インド、西インドに出荷されていたが、すべて、第2波の影響を最も受けている。

合板や集成材のもう一つの問題は、原材料価格の高騰である。これらの産業では、国内外から大量に調達されるフェノールとメラミンによる樹脂/接着剤を使用して、木材パネル製品を製造しているが、これらの化学物質は原材料コストの30〜35%を占めており、価格の高騰は深刻である。これら製造業のほとんどは中小零細企業であり、農村部で100万人の直接的生計とその3倍にもなる間接的生計を支えているため、政府では業界支援の必要性が提起されている。

合板業界はMDFにシフト

インドでは組織化された企業を中心とする市場へシフトしていくことは、上場企業にとって追い風となっており、木製パネル産業は2850億ルピー(約5千億円)の規模と推定されている。この業界で必要とされる技術的ノウハウとスキルは低いと考えられてきたことから、伝統的にほとんど組織化がなされなかった。ただし、産業界全体の成長率が5〜7%であることに比べると、組織化された企業ははるかに速い速度(12〜15%)で成長し、組織化されていない企業から市場シェアを奪っている。新しい建設活動(需要の85~90%)がこのセクターの大部分を牽引し、残りは改築や買替になっている。

他の業種がほとんど組織化されていない中で、MDF部門は、高額な設備投資が必要なため、100%組織化されている。MDFは、合板より40〜50%安く、湿気に強く、家具用途向けに簡単に成形・機械加工できるため、低品質から中品質の合板の代替品として使用が増えている。インドのMDF需要の30〜35%は輸入によるが、インドにとって輸入代替の大きな余地がある。さらに、MDFボード(厚さ6 mm以上)の輸入品には64ドル/ m3のアンチダンピング課税が課されていることから、地元業者にさらなる利益をもたらしている。

MDFは、消費者の好みの変化と政府の支援により、現在、木製パネル市場で最も急速に成長している。MDF需要は、2016年度には160億ルピー(約270億円)の規模であったが、2021年度まで年平均成長率14%で成長し、310億ルピー(約530億円)の規模に成長すると予想されている。

インドの木質パネル生産量(2017-19)

(単位:百万m3)
 201720182019
合板8.939.5010.0
パーティクルボード,OSB1.071.141.20
ファイバーボード(HDF,MDF)0.890.951.00

木材産業は4つの大企業によって支配されている。 合板とMDFは、市場の約50%を構成するCentury PlyとGreen Plyによって支配されている。 同様に、GreenlamとMerinoは集成材部門の重鎮であり、StylamとRushil Décorがそれに続く。 大手企業の中で、Merino Industries以外は上場している。