台湾の2021年上半期における建物取引および建設市場の統計データは次表のとおりである。全体として見れば、建物取引および建設市場は、コロナ禍においても甚大な影響を受けることなく、昨年に比べて明らかな後退は見られなかった。それどころか好調な面も見受けられた。
「建築許可」合計発行数は13,247件、建築総延床面積は18,804,500 m2であり、昨年同期比でそれぞれ6.5%の増加および8.6%の減少となった。平均延床面積減少の要因として、将来の景気の見通しが立たない状況下で投資が保守的となったことが挙げられる。
「使用許可」合計発行数は10,915件、使用総延床面積は13,472,983 m2であり、昨年同期比でそれぞれ1.8%の増加および5.7%の増加となった。増加要因として、市場における新築建物の供給が増加したことにより、室内装飾および家具の需要が牽引され、普通合板、ブロックボード、加工合板、製材、LVL角材および家具等の消費が増加したことが挙げられる。
「新規工事数」は合計8,024件、新規工事総延床面積は14,023,709 m2であり、昨年同期比でそれぞれ4.8%の減少および0.6%の減少となった。これは主に5月中旬からコロナ禍の状況が悪化し、政府が警戒レベル3の実施を発表したことに関連すると考えられる。
建物の売買譲渡数は17.5万棟に達し、昨年同期比で3.5万棟の増加、25%の増加となった。これは2019年同期の14.3万棟、2018年の13.6万棟、2017年の12.9万棟、2016年の10.8万棟よりも高い水準であることからも、上半期における不動産市場取引が大変活発であったことがうかがえる。増加要因として、台湾企業による台湾回帰投資、外資系企業の台湾における投資と購入、そして数カ所におけるサイエンスパークの新設により、周辺の建物需要に基づく売買取引が牽引されたことが挙げられる。