インド連邦環境省は、1980年森林保全法の改正に関する協議書を発表した。コメントは以下のとおり。
1996年の最高裁判所の判決により、「辞書で定義される森林である土地」は「森林」と見なすこととされた。しかしながら、そのような土地の特定は主観的であり、恣意的であるともいえる。この判決はあいまいさをもたらし、特に個人や組織体から多くの恨みと抵抗が見られた。私有の地域を森林と見なすと、個人が自分の土地を非林業活動に使用する権利が制限されることになる。そのような地域の転用が許可されている場合でも、所有者は、非林業目的に自分の土地を使用するためには、同等の非森林地またはその他の補償税を提供する必要があるので、私有地を植生がない状態にしておく傾向がさらに高まっている。このようなことから、法の適用範囲を客観的に定義することが極めて重要である。 気候変動目標達成のためのパリ協定において、インドの貢献の1つは、2030年までに追加の森林と樹木被覆を通じて追加的に25〜30億トンの炭素吸収源を拡大することである。このため、木材・木材製品の輸入に使われている45,000クローレ(約7800億円)の規模の流出の流れを減じることが提案されている。かつて国内で繫栄していた木材・木材製品の市場は姿を消したが、今や復活させなければならない。
環境省は森林保全法に、特定の天然林を一定期間「豊かな生態学的価値のショーケース」として無傷に保つための規定を導入することを検討している。森林保全法の改正により、経済的優先順位が高いインフラ開発と植林のための土地を増やすことを目指している。1996年の最高裁判所の命令により、製材所を含む木材産業への国内木材の使用が禁止されたため、植林地と重要な森林地域を保全するためのトレードオフとしての原材料の輸入が大幅に増加してしまっている。
私有地は、森林要件から解放されれば、植林ベースによる炭素吸収源としての役割を果たすインセンティブとなりうる。実際、そのような土地は、民間団体が販売し政府が民間団体に代わって取得する市場商品となり取引可能な資産になる。一方、インフラ面では、環境省は、高速道路や鉄道などの政府機関の要件を優先し、これらの機関によって取得された土地は優先的に使用が許可されることを想定している。しかし、これらの買収自体が未解決の土地の権利問題などについてきちんと考慮されているというわけではない。