腐木材中には自由水と結合水と呼ばれる2種類の水が存在しています。自由水は含水率が繊維飽和点*1(約30%)以上の材の細胞内腔や細胞壁中の空隙にある水です。木材が乾燥しても自由水が減少する限りにおいては収縮しないし、強度的性質も変化しません。ところが、繊維飽和点以下に含水率が低くなると、結合水が減少します。結合水は細胞壁内にあって木材を構成する分子と二次的に結合している水なので、結合水が減少すると収縮すると同時に強度的性質は増大します。含水率1%の変化に対する強度的性質の変化は無欠点小試験材の場合、曲げ強さ4%、縦圧縮強さ6%、せん断強さ3%、硬さ2.5~4%、ヤング率*22%程度です。このため生材と気乾材(含水率15%)では曲げ強さ及びヤング率はそれぞれ約1.5倍、1.3倍になります。 しかし、構造材として使われる実大材の場合、欠点などの影響でこれほどの強度増加はなく、スギ材の曲げ強さについて含水率1%あたりの増加率は1%程度といわれています。 *1 繊維飽和点:木材中、自由水はすべて蒸発し、細胞壁は結合水で飽和している水分状態。含水率は約30%。 *2 ヤング率:材料が外力を受けたときの変形のしにくさをあらわす特性値、ヒノキ気乾無欠点材の繊維方向の値は約90×103kgf/cm2 |
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