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ファイバーボード木質建材の種類と特徴

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ファイバーボード

ファイバーボード

ファイバーボード(繊維板)は、木材そのほかの植物繊維を主原料とし、これらをいったん繊維化してから成形した板状製品の総称で、JISでは密度により、表1のようにインシュレーションファイバーボード(IB)、メディアム・デンシティファイバーボード(MDF)、ハードファイバーボード(HB)の3種類に分けています。

IBはさらにA級インシュレーションボード、タタミボード、シージングボード(外壁下張用)に(表2)、またHBは、スタンダードボード(S)(無処理)およびオイルテンパリングを施したテンパードボード(T)(処理)に分けられます(表3)。そして、それらにはそれぞれ素地のままのものと、表面にプラスチックシートなどを接着したり、合成樹脂塗料により印刷又は塗装したものがあります。

Sボードの場合は、内装用化粧ハードボード、Tボードの場合は、外装用化粧ハードボードに分類されます。

なお、HBにはボード表面の平滑性の有無により、両面平滑(S2S)ボードと、片面平滑または裏面網目(S1S)ボードがあります。そのほか、ファイバーボードは製造方式によって、湿式と乾式に大別されますが、IBは湿式法でのみ製造されます。なお、IBのうち、T級はA級と同等のものが使用され、シージングIBはA級IBをつくる際にアスファルト処理を施して耐水性をよくしたボードです。

MDFの場合、繊維化まではほかのファイバーボードと同じ工程ですが、その後はパーティクルボードと同様、接着剤を使う乾式法です。したがって、JISでは、曲げ強さ、接着剤、ホルムアルデヒド放出量、難燃性の組み合わせで分類されています(表4)。

表1 ファイバーボードの密度による種類区分

表2 インシュレーションボードの種類区分

表3 ハードボードの種類区分

表4 MDFの種類区分

ファイバーボードの製造法

繊維板の標準的な製造工程は図1および図2に示すとおりです。湿式法では、木材を多量の水とともに解繊し、調整したパルプ液に耐水性と強度付与のために、接着剤その他のサイズ剤を添加した後、繊維を水に分散させた状態で金網上に流して、脱水しながら成形します。そのマットをそのまま乾燥させてIBとし、また、ウェットマットをプリプレスで圧縮脱水後、熱圧乾固させてS-1-SHBにします。後者の湿式熱圧法の場合は、熱と水分によって木材の固有の化学成分の接着性能を活かしてボードを製造することを特徴としています。なお、Tボード製造のためには、成板されたボードにさらにオイルテンパリングと熱処理が行われます。

乾式法では、解繊から成形(フェルター)まで空気を媒体とし、熱圧乾固の際も水分の少ない状態にあるため、木材固有の化学成分を繊維の結合に利用することができず、パーティクルボードと同様に、多量の接着剤を添加して成板が行われます。したがって熱圧の際、湿式法のような脱水のための金網を必要とせず、表裏平滑なS-2-Sボードが得られます。この方式でつくられた中密度のボードがMDFです。また、接着剤の添加は、パーティクルボードのような特別なグルーブレンダーを使用しないで、解繊中に行われるか、ドライヤーに空送される直前に行われる場合が多いようです。オイルテンパリングや熱処理などの後処理は、乾式法の場合、行われません。

なお、多量の水を使う湿式法は、大部分の水を再利用するにしても、汚水処理をしなければならず、処理に多額の経費を要するため、今後は乾式法のボードに変わって行くものと思われます。

ファイバーボードの規格

ファイバーボードは、今までインシュレーションボード、中質繊維板、ハードボードなど個々の規格が独立してありましたが、最近一本化され、JIS A5905となりました。それにより、前述のように密度により3種のボードに大分けされております。

このうち、MDFは密度、厚さがパーティクルボードと同程度で、利用面も似ているため、性能判定の試験法はパーティクルボードのそれをほぼ踏襲しています。しかし、MDFはその構成がファイバーで、ち密なため、曲げ強さ、はく離強さの基準値は、パーティクルボードを上回っています。

JISにおけるMDFの種類と品質
(備考)1)PタイプMDFは100℃の沸騰水中で2時間煮沸。冷水で1時間浸漬後、曲げ試験を行う。MタイプMDFは70℃温水中で2時間、冷水で1時間浸漬後、曲げ試験を行う。
2)吸水試験は、試験片を20℃の水中に24時間浸漬して行う。
3)木ねじ保持力は、厚さ15mm以上のものについて適用する。
4)ホルムアルデヒド放出量は、デシケーター法によって測定されたホルムアルデヒドの濃度で示す。

ファイバーボードの利用

最近のファイバーボードの需要構成を見ると、IBは遮音、遮熱などの特性上、ほとんど建築に使われていますが、特に畳床が62%(下地21%)ときわめて高い比率を示しています。HBは、自動車36%と最も高く、次いで包装25%、家具17%、建築11%と利用率の低下が見られます。MDFは、表面の平滑性と端面のち密さが好まれて、建築32%、家具30%、住設機器28%と平均して使われています。
(1)建築用 木造住宅の枠組壁工法の耐力部剤として建設省によって当初シージングFB(12mm厚)のみが壁倍率1倍として認められましたが、その後、HBも追加認定されました。それによると、JIS35及び45のもので厚さ5mm以上のものが2.5倍、7mm以上のものが、3.0倍です。しかし、需要としてはアスファルトなどで処理されたIBが断熱下地材として多く使われてます。

これに対してHBサイディングは、非耐力ではありますが、かって建築外装に多く使われていました。しかし最近は窯業系建材に押され、使われなくなりました。内装用としては一時期、IBの二次加工品が施工性のよさから天井に使われましたが、これも防火上の点から無機系のものにとって変わられています。現在最も多く使われているのは、上述のようにタタミボードの畳床です。断熱軽量の特性のほか、ダニがわかない性質が好評のようです。

(2)その他、自動車内装用に2.5mm のHBが使われます。金属に比べ軽く、車の軽量化に適していること、低コスト、加工が容易であることのためです。

(3)しかし、これからは合板代替材として各方面で薄物MDFの利用が増えて行くものと思われます。