木材利用相談Q&A 100
木材に関する利用相談
Q1 | 住宅、家具などで私たちの生活を豊かにしている木材の特性を具体的に教えて下さい。 |
木材の特徴としてはまず石油、鉄などと異なり、持続的再生産が可能な材料です。さらに、「軽くて強い」「ショックを和らげる」「熱を伝え難く、温もりがある」「調湿作用を持つ」「暖かい色、美しい模様を持つ」「光をマイルドにする」「肌触りがよい」「快い香りを持つ」このほか 「加工し易い」「材料の加工・製造エネルギが少ない」「最終的には微生物によって分解され、焼却しても高温なら有害なガスなどは発生せずに無公害である」などがあげられます。 1)木材の最も大きな特徴は、石油、鉄などと違い持続的再生産が可能な材料ということです。すなわち、樹木は大気中のCO2 と水から太陽エネルギ-によって構成成分が合成され、細胞の分裂、細胞壁の形成によって成長します。そのため伐ったら植えるというサイクルによって木材は持続的に利用できます。 2)木材の材料としての特徴として、まず材面の美しさ、加工のし易さなどがあげられますが、木材の優れた特性は「中空で細長い細胞が強固に接合している」という特徴的な組織構造によるものが多く、以下にそれらを列記してみます。 ■軽くて強い:多孔質で軽く、しかも細胞の長手方向(L方向)では大きな荷重に耐えます。同断面の鉄と比べれば当然鉄が強いが、同じ重量では(比強度)は木材の方が強い。 ■ショックを和らげます:物が衝突すると表面の細胞がつぶれ、衝撃を吸収します。 ■熱を伝え難く、温もりがあります:木は熱を伝え難いため、触って冷たく感じません。木質の床は足が冷えません(熱伝導率はコンクリート、鉄のおおよそ1/10、1/400です)。 ■調湿作用があります:水分を吸放出して、室内の湿度を調節します。また、断熱性と相俟って結露を生じにくい。 ■暖かい色・美しい模様をもつ:心材の色は殆ど黄から赤の暖色系です。自然な曲線状の板目模様、適度のゆらぎを持つ直線的な柾目模様、さらに美しい杢が現れます。 ■光をマイルドにします:木は紫外線の反射が少なく、赤外線の反射が大きい。細胞の凹凸によって光が乱反射します。 ■肌触りがよい:力を加えたとき適度に変形します。表面には細胞の断面による小さな凹凸があります。湿気を吸い取ってくれます。 ■快い香りを持つ:木材はそれぞれ樹種特有の匂いを持っていて、多くは人にやすらぎを与えてくれます。これは材中の精油成分によるもので、樹種によっては防ダニ(ヒノキ、ヒバ、スギ)、殺虫(クスノキ)、抗菌(ヒノキ、ヒバ)作用があります。 さらに木材は環境に優しい材料(エコマテリアル)です。 ■木材を建築資材にするためのエネルギーは他の材料に比べて少ない。各種材料製造における消費エネルギ-(炭素放出量)は単位重量あたり鋼材、アルミニウムはそれぞれ木材の約22倍、約270倍です。 ■木材は住宅あるいは木製品として利用される限りにおいて、そこに炭素を貯蔵しており、最終的に廃棄されても微生物によって分解され、焼却しても高温なら有害なガスなどは発生せずに無公害です。 |